お子さんの乳歯がむし歯になってしまったからといって、
ご自分を責めたりしないでください。
スポーツ選手が失敗や挫折を繰り返しながら強くなるように、
できてしまったむし歯も強い歯をつくるためのチャンス。
そこには、これからむし歯をつくらないために
どうすればいいかという“ヒント”がたくさん詰まっています。
作戦をもう一度立て直して、しっかりと行動することができれば、
永久歯は必ず守ることができます。
歯科医師と衛生士とご両親とお子さんと、
みんなで頑張っていくスタートラインです。
同じように歯磨きをしていても、むし歯になる人とならない人がいます。それはなぜでしょうか。実は、歯磨きに対する考え方や姿勢に大きな違いがあるようです。
たとえば、歯磨きを頑張れば健康で強い歯を手に入れることができるぞ!と思って歯を磨くのと、むし歯をつくらないようにと言われて嫌々ながらに歯を磨くのでは、結果に大きな差が生まれます。
病気に目を向けるのではなく、健康に目を向けることで、生涯自分の歯を残す強い口腔内環境を実現させましょう。
日本の平均寿命から考えると、一生自分の歯を残すには、およそ80年から90年使い続ける必要がありそうです。お子さんに「一生歯を大切にしようね」と伝えても、あまりに遠すぎてしっくりこないかもしれません。
そこで、まずはゴールを「二十歳」に設定して、むし歯のない健康な口腔内環境を目指しましょう。二十歳まで健康な歯を守れた人はその後もむし歯になりにくく、結果として生涯多くの歯を残すことができているという研究結果もあります。大切なターニングポイントとして、「健康な歯の二十歳」を意識してみてください。
歯は本来、美味しい食事を楽しむためにあります。食べたいものをひたすら我慢して歯を守るというのは、本末転倒ですよね。だから、むし歯の原因と言われるような甘いものも、ぜひお子さんに食べさせてあげてほしいのです。
大切なのは食べた後の適切な予防方法を知ること。上手な食べ方や食べる時間の工夫など、ご家庭でルールをつくるのも効果的です。どうか、歯磨きを忘れてしまったからといって怒らないであげてください。
歯磨きが嫌になってしまわないように、楽しく前向きに取り組むことが、強い歯をつくるためには欠かせません。お子さんの歯の健康は、ご家族みんなで守っていきましょう。